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ISO14001 本来業務に合った目的・目標の薦め

はじめに

環境マネジメントシステムISO14001や品質マネジメントシステムISO9001が制定され、既に10年以上を経過しました。我が国では、企業理念の中に「環境」と「品質」を入れることが、21世紀の国際企業として支持され、生き残る基本戦略としてクローズアップされてきました。地球世論は企業の基本姿勢として「環境に優しく、品質に厳しくあれ」と、願っています。

ISO14001:1996が発行され、06年9月1日で10周年を迎えました。この間に、世界で10万件強、そして日本では、この5分の1強にあたる約2万件が登録されました。『The ISO Survey of Certification』によるここ4年間(01年~04年)の世界の認証取得件数のベスト5ランキングを見てみると、日本は当初から1位でスタートしたまま現在に至っていますが、現在第2位の中国はランク外から5、3、2位と大躍進しています。3位のスペインも5、3、4、3位と徐々にランクを上げていますが、第4位のイギリスは2、4、2、4位と他国の伸長により一進一退を繰り返しています。第5位のイタリアは、これまではランク外で、直近の04年に第5位にランクインしています。01年12月時点で第2位にランクされていたドイツは、EMAS取得の影響もあり、これ以降2、5位と下げ、4年12月のデータによると第7位になっています。

一方、QMSは世界で70万件強の登録件数を数え、EMSに比べまだ数倍の差があります。勿論、QMSはビジネスユニット単位での取得が基本で、EMSのサイト単位のそれとは異なりますが、EMSの潜在的なニーズはまだまだ大きいものと信じています。

経営に資する環境マネジメントシステム

2004年度版のISO14001の序文に、「環境マネジメントに関する国際規格には、他の経営上の要求事項と統合でき、組織の環境上および経済上の目的達成を助けることができる効果的な環境マネジメントシステムの諸要素を組織に提供する意図がある」とあります。規格はEMSを運用することにより、結果として環境パフォーマンスが改善されることを狙っていますが、同時に、EMSにより組織の経営上の目的達成につなげ、環境上の利点とともに経営上のメリットを生み出すことを意図しています。

EMSの認証取得の当初は、単に規格との適合性だけに終始したり、目的・目標はいわゆる、「紙・ごみ・電気」が多く見られましたが、更新を重ねる毎に本来業務を目的・目標に組み入れる組織が多くなっています。本来業務とは、「組織の活動、製品、サービスの持続可能な開発の実現を図ること」であり、「既に開発され維持されているもの」も含まれ、改善・改良が期待されるべきものと考えています。

本来業務への取組み

本来業務の中からEMSの目的・目標に相応しいテーマを、一例として考えて見ましょう。全ての業務はエネルギーや資源を使っており、「業務の非効率は環境負荷の増大に繋がる」という考えに基づいたものです。資源以外の各種情報はおおよそ環境とは関わりがないように思われがちです。入手した情報と環境との関わりを考えてみると、意図的に収集する情報は集めただけでは使いものにならず、この情報を加工してはじめてある目的のために役立つ場合が多い訳です。すなわち、この情報を加工するプロセスに環境的側面が介在することとなります。加工の効率をいかにあげるか、有用・有効なものにするかが、エネルギーやペーパーなどの資源、労働時間の無駄遣いを省くことに繋がる訳です。

次に、お客様の声やクレームについて考えてみましょう。お客様の声には外部のお客様は勿論ですが、「社内の次の工程はお客様」と言われるように内部の場合も含むべきです。これらの声には、粗末に扱うと経営をも揺るがすような重要なことが含まれることが度々あります。要は、「お客様の声をいかに判断し、いかに早く行動に移すか」がポイントです。すなわち、対応が遅れると多くの無駄な資源、労力を使うことになり、結果として大きな環境負荷と経営負担を与えることに繋がります。

このように、本来業務をEMSの目的・目標に取り込む結果として、経営そのものにEMS活動が一体化され、費用対効果の改善が期待できます。ただ、規格の序文に「EMSの成功は、特にトップマネジメントのコミットメントいかんにかかっている」と記されている通り、「EMSをマネジメントのツールとして生かすも殺すも経営者であり、環境管理者の責務」と考えるのが道理であることを最後に付け加えておきます。


株式会社日本環境認証機構(JACO) 代表取締役社長 伊藤 信久
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