これまで食品産業で食品の安全や品質を守るために導入されていたシステムは、品質マネジメントシステムのISO9001及び科学で食品の安全を管理するシステムのHACCPがあります。しかし、食品産業は原料が天然物であったり、最終製品の監視測定が人間の官能による等の特殊性の強い産業であるため、このようなシステムの構築が難しく、なかなか導入が進んでいませんでした。
こうした中、2005年9月、食品の安全管理の指針であるHACCPにISO9001のマネジメントシステムの要素を取り入れた、食品安全マネジメントシステムISO22000が規格制定されました。消費者要求の厳しい時代に勝ち残っていくために、大手企業だけではなく、中堅企業や小規模工場まで、幅広い企業・団体がISO22000の認証取得へ向けて動き出しています。
ISO22000の大きな特長は、農・畜・水産物等の原材料の生産から、製造、包装、輸送、保管・販売に至るフードチェーンすべてが対象になっていることです。例えば、牛乳の場合には、どこでどのように製造管理されているのか、物流・保管管理はどう行われているのか、さらには、牧場の牛はどんな牛で、どんな餌料を食べているか、その餌料の原料は、牧草栽培の土壌は・・・?というように、食品製造のもっとも源流に近い部分から最終消費者の手に渡るまでトータルで管理するため、高い安全性を確保できるシステムとなります。
こうした食品安全マネジメントシステムを効果的に導入・運用していくためには、まず、フードチェーン内における自組織の役割や位置を明確に把握することです。例えば、飼料会社や運送会社、設備メーカーなどもフードチェーンの一部で、こうした企業の経営者、担当者に、自分の会社がフードチェーンの一翼を担っていることを理解していただくだけで、認証取得への取り組み姿勢が大きく変わってきます。
また、他のマネジメントシステムと同じように、経営者の強い意思とリーダーシップが大切です。特に、ISO22000は経営者が自分の組織だけで安全を追求していこうという姿勢では、フードサプライチェーン全体の安全性を確保することが難しくなります。そこでポイントとなるのが、監督官庁を含む関連する企業とのコミュニケーションです。製造業は、原料・包材メーカー、物流、設備メーカー、消毒殺菌業者、といった川上、川下とのコミュニケーションや関連産業との安全管理の協力体制を組まなければ、安全性を高めていくことはできません。そのため、関連企業と利益も責任も分かち合っていくという姿勢・体制を作り、食品安全マネジメントシステムを構築していくことが大切です。
食品の保管・物流を担当されている物流産業の方々も、食品サプライチェーンの中で重要な役割を担っていることを認識され、ISO22000を身近なものとして捉え、導入へ向けて動き出してみてはいかがでしょうか。
ロイド・レジスター・クオリティ・アシュアランス(LRQA)
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