社会全体で環境保護が叫ばれる中、物流業界でもエコドライブなどの環境活動に取り組む事業者は多い。なかでも、より熱心な事業者は、ISO14001や交通エコモ財団が認定するグリーン経営認証などの取得を進めている。今回、数あるISO審査登録機関のなかで、環境分野での審査に定評がある日本環境認証機構(JACO)環境審査部の織田元康参事(写真左)と浜野忠副部長に話を聞いた。

環境ISO14001が発行され、今年九月一日で十年目を迎えた。取得企業数は世界的に見ると日本が断トツ一位で、財団法人日本規格協会・環境管理規格審議委員会事務局調べによると、取得件数は今年八月現在で20969件にものぼる。そのうち運輸業はわずか2.2%、400社程度にしか過ぎない。織田参事は、「他の産業のように取引先からの要請や入札要件になっているのが少ないためではないか」と指摘。しかし、「製造業ではない物流企業では、燃料・紙・ゴミ・電気の削減が中心となるが、これまでの審査の経験からみると、物流企業でのISO取得は経営改善や業務改善に繋がる」と語る。浜野副部長も、「マネジメントシステムを経営のツールとして導入頂くことで、事業経営の近代化が図れる」とし、「環境マネジメントシステムの『環境』を取ってしまえば、経営全般に役立つマネジメントシステムを意味する。入り口は環境でも、使い途は豊富」と付け加える。
環境ISOでは、中期的な目標の設定が求められる。たとえば三年後の目標を考える場合、「そのとき会社がどうなっていたいか」を考え、「そうなるにはどうすれば良いか」を段階ごとに決める必要がある。同参事は、「企業経営と同じく、目標を決めてそれに向かって実行し、PDCAを繰り返していく。ISOは業務改善に繋がるシステム」と語る。
また、創業者から二代目へ経営を引き継ぐ際に、後継者が環境管理責任者を務めていたことから社内のあらゆる業務に精通しており、スムーズに委譲できたという事例もあるという。
運送事業者が取り組む環境改善活動では、やはり「デジタコの装着」が多いという。同参事は、「ドライバーにエコドライブの成績を競わせた物流企業では、わずか一年で機器の導入費用を燃費向上によるコスト削減でカバーしていた」。その他にも、GPSを活用した最適な配送経路の選択、積載効率の向上、低公害車の導入、拠点の統合などを活動内容に挙げる運送事業者が多いという。また、「月に一回のゴルフのために、年中トランクに重いゴルフバッグを積んでいるゴルファーと同じで、夏場にチェーンを積んだまま走っているトラックから不要な用具を取り除いたという改善事例もあった」という。浜野副部長は「運送事業での環境活動は、ドライバー個人の意識に頼らざるを得ない面が多々ある。『やらされている』のではなく、楽しい活動として取り組んでほしい」と語る。
織田参事は、「環境マネジメントシステムに取り組むのであれば、『燃料・紙・ゴミ・電気』の削減だけではもったいない。ぜひ、『業務改善による攻めの環境対策』へ挑戦するべき」と力説。「これまでのやり方にメスを入れ、『経営にプラスになる』『顧客の環境経営にも貢献する』活動を進めるべき」と付け加え、「JACOの審査では、そういった面をより深く見ている」とする。「ISOの取得効果は計り知れないものがある。ぜひ、環境ISOに取り組んで頂きたい」。
同社HPは、http://www.jaco.co.jp/